第7回現代日本彫刻展に際して(1977-図録)
隔年ごとのビエンナーレ形式で開催される宇部市常盤公園・野外彫刻美術館の現代日本彫刻展は、ことし、第7回展を迎えることになりました。
それ以前の、同公園で開催したわが国はじめての大規模な「宇部市野外彫刻展」、「全国彫刻コンクール応募展」をも合わせて数えますと、すでに16年の歳月を経過したことになります。その間、現代日本彫刻展は、現代彫刻の材質をはじめさまざまな機能を追及し、その都度記録的な野外彫刻展として充実し、現代日本の彫刻界に大きく寄与するところあったと自負しています。
これはひとえに、いつも心よく参加していただいた彫刻家諸氏の積極的なご協力と宇部市民のかたがたや宇部興産株式会社、その他一般のかたがたの彫刻に対する愛情によることは申すまでもありません。
今回の第7回現代日本彫刻展は、彫刻の本来的な性格を追究しつづけてきたことから、現代彫刻のもつ問題、抽象と具象とを見直すべく、「現代彫刻の抽象と具象と」をテーマとして、広く一般公募し、コンクールによって多数のなかから選ばれた入選作家に制作をお願いするとともに、同じテーマの招待部門とをあわせて展示することにしました。と同時に、今回は同じ会場内で、コンクールの入選作家と競って惜しくも選外となった応募作家の優秀模型作品をもあわせてご覧いただくことにしました。
今回もまた、意欲あふれる野外彫刻展となったことを、ともに歓こびといたします。
終りに、宇部市野外彫刻展に対して終始変らぬ愛情をもちつづけられた新田圭二氏が高齢のため市長職を辞されましたことを報告し、改めて感謝の意を表します。
昭和52年10月1日
宇部市長 二木秀夫
日本美術館企画協議会長 土方定一
毎日新聞社長 平岡敏男