UBE BIENNALE

第13回現代日本彫刻展に際して(1989-図録)

宇部市常盤公園で開催される現代日本彫刻展は、本年第13回展を迎えることになりました。「現代日本彫刻展」となる前には、わが国はじめての大規模な「宇部市野外彫刻展」(一九六一年)、「全国彫刻コンクール応募展」(一九六三年)がありますので、通算いたしますと、早や28年の歳月を経たことになります。
 これらの宇部の野外彫刻展は、第二次世界大戦におけるわが国の敗戦後、廃墟のなかから立ち上った宇部市の「緑と花」の市民運動に彫刻が結びつき、それが他のどこよりも早く、野外空間のなかに彫刻を自由ではつらつとして解放したのでした。
 その後、同展では現代彫刻の多様にひろがる材質追究をはじめ、「形と色」「彫刻のモニュマン性」「現代彫刻の抽象と具象と」「彫刻のなかのポエジー」などをテーマに彫刻のさまざまな機能を探求、さらに近年には、「緑の町と彫刻」「人間賛歌」「風土と彫刻」「太陽讃歌」をテーマに、自然と彫刻との調和や交響を追究して、その都度、時代時代の記録的な野外彫刻として充実させてきました。
 これはひとえに、いつも心よく参加していただいた彫刻家の方々の積極的なご協力と、宇部市民の方々、宇部興産株式会社、テレビ山口株式会社、その他一般の方々の彫刻に対する愛情によることは申すまでもありません。
 今回は、前回のテーマ「太陽讃歌」を承けて、万物の生命の根本ともいうべき「光と大地」をテーマとして広く一般公募し、模型作品コンクールによって多数のなかから選ばれた入選作のうち10名に実物制作をお願いするとともに、同じテーマの招待部門10名とを併せて展示することにしました。同時に、同じ会場に模型作品入選作も展示してあります。今回もまた、意欲あふれる野外彫刻となりましたことを、ともによろこびといたします。

平成元年10月1日

宇部市長 中村勝人
現代日本彫刻展運営委員会委員長 河北倫明
毎日新聞社長 渡辺 襄

前に戻る

  1. top
  2. 図録掲載記事