UBE BIENNALE

前運営委員長 故 中原佑介氏インタビュー(2011-図録)

このインタビューは、2010年10月17日選考委員会終了後に収録しました。

 野外彫刻展っていうけど、宇部の場合の特色は彫刻を街のあちこちに恒久設置するという。で、その後何年ごろからか、あちこちの都市で同じような考え方でやっていたが、ほとんどもうみんなやめてしまいましたね。今、宇部だけが街の中に彫刻を置くという、これはもう唯一と言っていい発想だと思いますね。そういう形で年でしょ。半世紀ですからね。

 外国でもいわゆる彫刻のビエンナーレだとかっていうのがあるけど、それはだいたい美術館に、あるいは美術館の外に置いて、ある期間が経つとみんな取り去ってしまって、街の中に彫刻を設置するというのはないんですよ。そういうことで非常に世界的にユニークだ、ということにようやく宇部市も気が付いて、それで「UBEビエンナーレ」という名前を新しく使って。

 最初はやっぱりこれはもうみなさんご存知だけど、宇部市の公害の問題があって、どうやって街を美しくするかっていう。で、彫刻と緑っていうんで、その時はそのことが唯一最大の目的だったでしょう。ところが今日、市長さんも触れられたけども、市民と彫刻というものをどのように結びつけるかという、こういう視点は、そんなにこれまで強くなかったでしょう。それが非常にまあ50周年をきっかけにした、大きな変化っていうか転機で、僕は非常にいいことだと思います。

 ただ、だんだん彫刻の数が増えてくると、置く場所も非常によく考えないと。ただ、ちょっとこう空き地があるから彫刻を置くっていうんじゃなくて、やっぱり彫刻があるということは一つの街の景観に、風景、景色になりますから。そういうことをこれからよりいっそう十分考えて続けていくということ。これが彫刻と宇部市との関係を、非常に密接にすることだと思うんです。

―今回の選考委員会の印象について

 模型の審査ですからね。これが何メーター、2メーター、3メーター、5メーターぐらいに大きくなった場合に、模型を見た時の印象と違う場合もあるんで、それで本当はこの模型っていうのは良し悪しもあるんですが。今回も、僕は比較的いい模型が選ばれたんで、多分、50周年にふさわしい、いい展覧会ができると思います。

―海外からの応募について

 (応募総数は)減ったんですけども、見ると、アジア地域は増えてるんですよ。北米、中米、南米がね、ぞーっと減って、それでヨーロッパも比較的減った。これはどういう理由かよく分かりませんが。でもアジア地域から出品者が増えたというのは、僕は非常にいいことだと思いますね。

―選考委員会の一般公開について

 事務局から公開審査というのを考えてるけどどうですかっていうから、僕は非常にいいことだから積極的にやってくださいと。別に、隠れてこそこそ審査やったりってわけじゃないからね。それはもう皆さんに見てもらっていいって。オープンにするっていうのはいいことですよ。それでなくても、なんかこう、審査委員がこそこそこそこそ、作品がいいの悪いのと言ってるんじゃないかって、これはやっぱり彫刻にもっと親しんでもらう場合に困ることなんで、僕は公開審査大賛成です。

―今後のUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)について

 一言で言うと宇部市に彫刻をぱっと置いて、それで市民にどうぞ見に来てくださいって言うだけではだめなんで、積極的に彫刻と市民との密接な結びつきを推進していくようないろんな工夫をして、それをやることによって、50周年の意味が出ると思います。だからそれを是非やってほしい。

 選考委員も、作品を選べればいいってだけで、その選ばれた作品が宇部市の中で、どういうように市民と関係を結べるかっていうことは考えないんですよね。だから、これからもう少しそういうことも考えなきゃいけないかなと、そう思っています。そういうチャンスになるかなあと思います。

聞き手:岸 桂子(毎日新聞社東京本社学芸部記者)

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