彫刻世界 かたち・つくり・ひらく
終了しました
会 期 | 2024年10月18日(金)~12月15日(日) |
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時 間 | 10時〜16時 |
休館日 | 火曜日 |
入場料 | 無料 |
会 場 | ときわ湖水ホール アートギャラリー (山口県宇部市大字沖宇部254番地) |
監 修 | 水沢 勉(UBEビエンナーレ運営委員) |
ギャラリートーク | 10月27日(日) 12月1日(日) 12月15日(日) 11時〜30分程度 10月27日は、本企画の監修者である水沢勉氏がご案内します。その他の日程は、学芸員が担当します。 |
ギネス世界記録™️町おこしニッポン認定記念特別展
彫刻世界 かたち・つくり・ひらく
彫刻がすぐそばにあると世界はまるで別のものに感じられます。
すぐれた作品であればあるほど、そのかたちとそれを包む世界との対話と交流が生まれ、世界も彫刻もおたがいに豊かで汲み尽くせない一体状態になるのです。それは彫刻と世界が不可分になったことの証しです。
本展タイトルの「彫刻世界」という四文字は、その現れを表現しようとするものです。空間のなかの「かたち」である立体としての彫刻は、ひとの手が「つくり」、そこから未体験の世界が生まれる=「ひらく」ことになる。「彫刻世界」が立ち現れるのです。
暮らしのなかにはひとの手によって作られたかたちは無数に存在しています。そうした三次元の立体は、機能が目的としっかり結びつけば、具体的にコップであったり、椅子であったり、ロケットであったりします。でも、目的との結びつきが失われると、名前は消えただの適当な「もの」のように感じられ、逆に「彫刻世界」が誕生するきっかけとなります。
彫刻のかたちは、それを包む空間と不可分であり、そこに揺らぎが潜んでいる。堂々たる不滅の記念碑と見えても、世界との関わりではじつはどこかで微妙に揺れている。手のひらのうえの小石も、巨大な石積みの古代のピラミッドも、絶え間なく変化する「彫刻世界」のなかにあるのです。
本展は、「彫刻世界」を「かたち つくり ひらく」ことに取り組んで、ギネス世界記録 ™️に認定された宇部市の彫刻コレクションの素晴らしさを紹介するものです。
宇部の歴史と野外彫刻展の歩み
ギネス世界記録™️認定(2024年3月26日/宇部市)
「最も長く続いている野外彫刻展」
宇部市は明治以降、石炭産業を中心にまちの基盤を築きました。戦後は工業都市として発展する一方、その代償として煤塵による大気汚染など環境問題に悩まされることになります。そのなかで生活空間を住みよいものへと変えていこうと「緑化運動」や「花いっぱい運動」が活性化。1958年、花の種子を購入するために集められた市民募金の一部で一体の彫刻が購入され、宇部駅(現在の宇部新川駅)前の噴水池に設置されると、人々の間で好評を得ます。その彫刻こそが、現在まで続く野外彫刻展のきっかけとなった、ファルコネの「ゆあみする女」の複製品でした。
やがて芸術性の高い彫刻を集め、青少年の教育や、若手芸術家の育成にも寄与しようという機運が生まれます。それは市民運動「宇部を彫刻で飾る運動」へと発展し、1961年に、日本初の大規模な野外彫刻展「第1回宇部市野外彫刻展」が、ときわ公園を舞台に開催されることとなりました。その後、1965年からは現代日本彫刻展、2009年からはUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)へと名称を変えながらも、世界で最も歴史ある野外彫刻コンクールとして開催を続けてきました。2024年3月には、長期に渡る持続的な開催が公式に認められ、「最も長く続いている野外彫刻展(The longest-running outdoor sculpture competition)」として、ギネス世界記録®に認定されました。