UBE BIENNALE

想像力とかたち×キム キョンミンさん

キム・キョンミンさんは、ぴかぴかのステンレスで「リメンバー宇部」という大きな作品をつくった作家さんだよ。大きな水のしずくが空から落ちてきて、地面にみずたまりをつくっているみたいで、とてもきれいなんだ。キムさんに、「リメンバー宇部」のことを聞いてみたよ!

 

「リメンバー宇部」2017年
作品を設置しているところ
1/10サイズの模型

●キムさん、「リメンバー宇部」ってどういう意味かな?

私にとって宇部は、また行きたいと思った場所です。町の中に置いてある多くの彫刻作品を楽しく観覧した記憶が残っています。また、ときわ公園は、落ち着いた風景と人々の強いエネルギーを感じました。

私だけではなく、宇部市に一度訪れたことがある人々の心の中に、町の風景やエネルギーなどが記憶に残って欲しい、忘れられない思い出がたくさんあり、もう一度行きたくなるような場所、このような意味が「リメンバー宇部」に込められています。

●「宇部」を彫刻にしたら、キムさんにはあんな風に見えるのかな?

初めて宇部に来たときに、力強い一方で落ち着いた風景を真っ先に感じました。また、公園内に湖があるので、さらに美しく見えました。


通常私たちが考える自然の風景は、空や山、海などがありますが、ときわ公園には、このような風景がすべて備わっており、自然豊かな場所だと思います。

青空と日が照っていて輝く湖、その境界には緑が広がり、人々の姿が常に行き交うことで、変化しながらも自然と共に暮らす空間を彫刻(かたち)にしました。

●キムさんは、彫刻(かたち)をつくるときは、まずどんなことから始めるの?

まずは作品の主題を決めます。
私の作品の全体的な主題は、ある瞬間感じる感情を文字に表し、その文字を水の中に落として見る状況を再現した、「水の動き」です。イメージの中での、視覚的な水の動きは、始まりも終わりもなく、永遠に変化し続けます。

かたちをつくることは空間の中にドローイングすること。

このような動きを人の感情に見立てて想像します。「リメンバー宇部」の時は、作品を置く場の空間をイメージしながら、「記憶」や「思い出」を主題にしました。


かたちができたらステンレス板で制作に入ります。

●感情を文字にして、文字をかたちにする!すごいなぁ。かたちにするときに、迷ったりしたときはどうするの?

迷わないよ

●そうなのか〜。では、「リメンバー宇部」をつくるとき、一番難しかったこと、楽しかったことは何ですか?

金属の中でも一番と言っていいほど硬いステンレスの板を、曲げて叩いたり、切断したり、磨いたりと体力面での負担が大きかったです。

中でも一番難しかったことは、かたちをつくることでした。実際の作品は、模型と10倍ほどの差があるため、なかなか全体のバランスをとることができずに焦った記憶があります。

ですが、苦しい一方で、作品が完成に近づいていくのを見ると、ときわ公園に置いてみてどんなイメージになるか、見る人がどんな反応をして、どう感じるかなどを想像してどんどん楽しくなりました。実際作品を設置した時の達成感はすごかったです。

●ときわ公園に「リメンバー宇部」を置いてみてどう思いましたか?

置く前に、私が一番心配していたことは、作品を実際置いてから空間や雰囲気がどう変わるのか、変に変わってしまわないか、よく映えるかなどでした。

ですが、置いてみてまず、すぐに思ったことは、マッチしている、ということでした。作品の一部が鏡面になっているので、後ろの青い空と湖、生い茂った木々の景色と私たちの姿を映しながら、ときわ公園の自然と共にしているということを感じました。

設置時は、運よく晴天だったので、光も反射して幻想的だったと思います。

●なるほど。キムさんの彫刻は風景と一緒にあるんですね!

キムさんが、ときわ公園のことを想像しながらつくった「リメンバー宇部」が、本当にときわ公園に置かれて、みんなの思い出に残る作品になっているんだと思うと嬉しいですね。

キムさん、たくさん質問に答えてくれてありがとうございました!!

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